コラム

研修旅行にて

2017年12月28日
中小企業診断士 河合 秀保

 去る2017年11月にMASTコンサルティングの研修旅行兼忘年会にて、岐阜の小京都飛騨高山市を訪れました。
 高山の街中を散策した後、現地ゆかりの企業を訪問しました。飛騨家具の製造・販売を手掛ける『日進木工』さんです。  ところが私、不勉強ながら、飛騨高山が日本の家具の一大産地であることを知らずにいたため、まず、すこし飛騨家具の歴史を紹介したいと思います。

<<飛騨家具の歴史>>
 飛騨家具の源流は、およそ1300年前に記された歴史書に『飛騨の匠』の記述があります。 当時の飛騨国は、高度な木工加工、建築技術を有していた木工職人『飛騨の匠 』を都に派遣する代わりに税である租・庸・調のうち庸・調が免除されていたのです。 まさに、税を免じてでも欲しがる『飛騨の匠』の技術だったのです。
 時は進み飛騨家具の発祥についてですが、約100年前の大正9年において、高山を訪れていた西洋の曲木技術を学んだ2人の技術者の話を聞いて、 心を動かされた町の有力者たちが西洋家具メーカーの起業を決意したことに始まります。
 さらに昭和10~20年代に、『日進木工』さんを含め、今日まで続く高山の家具メーカー達が相次いで創業し、飛騨の地場産業としての地位を築いていきました。 戦後の高度経済成長期には、日本の住宅環境、生活スタイルが洋式化し、ダイニングに椅子を用いることとなり、飛騨家具の普及、発展を遂げてきたのです。

<<現在に活きる『飛騨の匠の技術』>>
 さて、『日進木工』さんの本社に到着した我々は、まずショールーム、工場見学に進みました。その過程で気づいた技術について以下にまとめました。

・木材の乾燥
 木材の水分管理は非常に重要です。木材同士を組み合せる際に含水率を合わせて置かないとその伸び縮みが異なってしまい、変形や割れの原因になってしまうからです。 同社では、まず、敷地内に木材を積み上げて置き、天然乾燥を1年から1年半かけてゆっくり含水率を70%から20%程度まで下げます。 さらに専用の乾燥機を用いて1か月かけて10%程度まで落とし、最後に調湿の工程を行い、やっと加工できる木材となるのです。

・曲木の技術
 曲木とは、一本の木材を高温の窯に入れて蒸らし、型に入れて曲げる技法を言います。 初めて見た私は、木がここまで曲がるのかと驚きました。実際90度以上も曲がっており、作業員さんは簡単そうに作業をしているが、 木材の破断に至らないためには、その窯の温度・湿度条件、窯から取り出してからの作業時間等に技術・ノウハウが詰め込まれていると感じました。 この技術があり、あの椅子の美しい曲線につながっているのだと理解できました。

・接合技術
 同社では、接合技術の一つであるフィンガージョイントに特徴があります。まるで、手が組み合わさる様に木組みを行うことで、細身の足でも十分な強度が得られ、美しいシルエットの椅子を作ることができるのです。

<<伝統を、新しく>>
 工場見学から戻り、最後に常務の北村卓也さんとの意見交換を行いました。  そのお話には、古来より続く伝統の『飛騨の匠』の技術を時代に合わせて、新しいモノにチャレンジしていく意気込みを感じました。

“受け継いだ技術と精神をさらに鍛錬し、時代をとらえた工夫と発想で新しいものを生み出していくからこそ、伝統は続いていくのだと思います。伝統を、新しく“


 会社経営には、時流に合わせて常に改善・変革が求められます。こんな時に、普段は社長自らもしくはご社員一同と協力し、自社の課題を洗い出し、 その対策を実践されていることと思います。ただ、時には、外部からの客観的な視点より、その課題、対策案に気づくこともあるのではないでしょうか?
 そんな時は我々MASTコンサルティングと一緒に考えて行きませんか?


写真:『日進木工』さんの本社ショールーム

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